日本遺産と小樽市の取り組み

日本遺産に認定

平成30年(2018年)5月24日、小樽市は北前船(きたまえぶね)の日本遺産ストーリー「荒波を越えた男たちの夢が紡いだ異空間~北前船寄港地・船主集落~」に追加認定されました。
認定された小樽の構成文化財は北前船の船乗りたちが出港前に日和を見た「日和山」や、船で運んだ物品の保管のために建造した「旧北浜倉庫群」など計7つあり、その中の一つに、北前船の船主や商人たちが利用した料亭として「旧魁陽亭」が組み込まれています。

(『後志国盛業図録』(1889年)に掲載された魁陽亭)

今回は日本遺産とそれに関連する小樽市の取り組みについてご紹介致します。

日本遺産とは

日本遺産は、文化庁が平成27年(2015年)に開始した事業です。

1)地域の活性化を図る

日本遺産という名称は世界遺産を連想させますが、その内容には大きな違いがあります。
世界遺産は、人類の歴史や文化の上で価値がある遺跡や街並み、かけがえのない自然などに価値付けを行い、後世へ残すために保全していくことを目的としています。
一方、日本遺産の目的は価値付けや厳しい保全ではなく、地域の遺産を整備・活用し、国内外に発信することで地域の活性化を図ることです。

2)地域型とシリアル型のストーリー

また、世界遺産では認定の対象が有形の文化財であるのに対し、日本遺産では、時代を超えて受け継がれている伝承・風習などの無形の文化財も含めた、地域の歴史的魅力や特色を通じて文化・伝統を語る「ストーリー」が認定の対象となります。

ストーリーのタイプは文化財が単一の市町村で完結する「地域型」と、複数の市町村にまたがる「シリアル型(ネットワーク型)」の2種類があり、申請自治体はどちらかを指定して申請することができます。
小樽市が追加指定を受けた「北前船」のストーリーは、2つのタイプのうち「シリアル型」に分類されるものです。

日本遺産がスタートして以来、これまでに67個のストーリーが認定されており、「忍びの里 伊賀・甲賀―リアル忍者を求めて―」(滋賀県甲賀市、三重県伊賀市)や、「『桃太郎伝説』の生まれたまち おかやま ~古代吉備の遺産が誘う鬼退治の物語~」(岡山県岡山市、倉敷市、総社市、赤磐市)など、ユニークなタイトルが付けられたものも数多くあり、どれも興味を惹かれるものばかりです。

日本遺産に認定されたストーリーの一覧は以下リンクからご覧頂けます。
http://www.bunka.go.jp/seisaku/bunkazai/nihon_isan/ichiran.html

日本遺産にまつわる小樽市の取り組み

小樽は歴史的背景から鉄道、港湾をはじめとした文化財に恵まれ、これらを資源とした様々な物語を持った街です。
北前船以外にもまだまだ数多くの文化財があり、小樽市ではそれらの文化財を活用し、新たな日本遺産認定を目指しています。

〜地域型での登録へ向けて〜

まず、単独の地域型での申請に向けた取り組みとして、小樽市教育委員会では地域型での申請に必要な「歴史文化基本構想」の取りまとめを行っており、今年の3月末に完成する見通しです。
また、市では歴史文化基本構想を参考にしながら、ストーリーの構成や認定後に実施する地域活性化計画を練り上げるため「小樽市日本遺産推進協議会」を設置し、平成32年(2020年)1月を目標に地域型日本遺産の申請に向けた取り組みを行うことが予定されています。
テーマは「市民が守り育てたまち並みの物語」とのこと。

〜シリアル型としての炭鉄港〜

シリアル型では、空知地域、室蘭市と連携した「炭鉄港(たんてつこう)」というストーリーの認定を目指しています。
これは、空知の「石炭」、小樽の「港」、室蘭の「製鉄・鉄鋼」の関連施設と、それらをつなぐ「鉄道」がテーマになったもので、申請書は今年1月に文化庁へ提出されており、審査の結果は今年4月ごろに発表となる予定です。

これらの内容に関しては「平成31年広報おたる3月号」にて詳しく触れられておりますのでご参照ください。

小樽は運河論争を契機として、市民の間に「まちづくり」の意識が強く芽生えている街です。
まちづくりに関する講座やシンポジウムは老若男女数多くの人達で賑わい、運河周辺ではボランティアによる案内や清掃が行われ、次の世代を担う子供たちは学校で学んだ小樽の歴史を市民に発表するなど、幅広い世代が様々な形でまちづくりに参加しています。

日本遺産への認定は、市民が小樽の魅力を再認識し、まちづくりに対する意識をさらに広げてくれるだけでなく、小樽の観光を底上げする大きなきっかけになり得るものです。

しかし、もっとも重要なことは日本遺産へ認定されることではなく、認定された後でどのように活用していくかです。
日本遺産が一過性のものとなってしまわぬよう、地域に根付いた文化振興の糧となるような継続的な形の展開が求められます。

「海陽亭の歴史文化を活かした事業再生を行い、日本遺産の構成文化財としての役割を果たしていく。」それが本プロジェクトのミッションです。
これから100年、海陽亭という先人達から受け継いできたかけがえのない財産を残していくため、一歩づつ着実にあゆみを進めて参ります。

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