『三代目女将が語る海陽亭』のご紹介

長い歴史の中で

北海道内最古の料亭と言われる海陽亭は、住吉町の丘の上から小樽の盛衰をつぶさに見守ってきました。
その長い歴史の中で、これまで幾多ものドラマが繰り広げられています。
今回はそんな海陽亭についてより深く知っていただける一冊をご紹介いたします。

『三代目女将が語る海陽亭』

本書は海陽亭の三代目女将である宮松よし子氏が執筆されたもので、2003年に発行されました。
一際目を引く美しい表紙の装丁は、先代の女将の帯地が使われています。
また、題字は三代目・宮松重雄氏により書き下ろされたものです。

海陽亭の歩み

本書は「海陽亭の歴史を巡る ひと・作品」という部分から始まります。
石原裕次郎をはじめとする角界の著名人達との写真や、海陽亭に残された書画・色紙などが全24ページに渡って掲載されており、海陽亭が多くの人々から長年に渡って愛されてきたことを伺い知ることができます。

本文は全七章から構成されており、海陽亭の歩みを様々な角度から知ることができます。
海陽亭を支えてきた魅力的な女将達、「日露国境劃定会議」後の大宴会が開かれるなど歴史の舞台としての一面、角界の著名人達とのエピソードなど、本書を読み進めていくごとに海陽亭が紡いできた歴史の重厚さ、濃密さに驚かされます。
また、本書は小樽の歴史書としても読み応えのある一冊です。
第一次世界大戦後の好景気に湧く小樽と「小豆将軍」に代表される豪商の誕生、小樽の街を彩った名芸妓の存在、第二次世界対戦と斜陽化する小樽の様子など、海陽亭を取り巻く「小樽」の歩みも詳細に描かれています。

石原家との親交

これまで数多くの著名人から愛されてきた海陽亭。
その中でもとりわけ海陽亭を贔屓にしていたのは、石原裕次郎ではないでしょうか。
本書では石原家との親交について、一章を丸ごと使って取り上げられています。
石原家との交際が始まったきっかけを皮切りに、裕次郎の幼少期の様子や俳優時代の豪快なエピソード、茶目っ気たっぷりで魅力的な人物像が活き活きと描かれていて、あたかも自分がその場に居合わせたかのように感じられます。

これからの100年に向けて

本書には海陽亭の名前を後世まで残していきたいという、宮松よし子氏の強い思いが込められています。
私たちはその思いを引き継ぎ、海陽亭の歴史・文化に注目し現代に蘇らせることで海陽亭の持つ可能性を呼び覚まし、新たな魅力を創出していきます。
そして、新たな100年の歴史を作り、次世代へとその役割を繋いでいきます。

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